新疆ウイグル自治区農業・産業視察 ~その5~
2010/06/02
新疆ウイグル自治区農業・産業視察 ~その5~
佐々木 清美
1月3日
風力発電見学(移動途中)
トルファン農業関係者と会食
1月4日
(10)トルファン地区ハウス栽培、(11)干しぶどう工場、(12)ハミ瓜生産基地見学
トルファンは中国で一番暑いところといわれ、最高気温は50度に達することもある。また高低差があり、低いところでは海抜-150mである。
現在トルファンでは「3つの発展」を謳っている。それは①葡萄②ハミ瓜③施設農業である。
葡萄は干しぶどう・生食葡萄で、干しぶどうは中国唯一の生産地といってよく、その作付面積は3.2万haである。生食用葡萄は年間10万トンを生産している。皮は薄く、種が小さくて口当たりはよい。トルファンのワインはあることはあるが、糖度が高い葡萄の生産に適した地域であり、これで葡萄を作ると甘めの味になってしまうらしい。
ハミ瓜も糖度が22度と非常に高く、トルファンの名産品である。近くにカリウム鉱がある関係のせいか、ハミ瓜のカリウム含有量が高く、ある調査では70歳の老人の肝臓は他の地域の40歳の肝臓と同じ健康レベルであったという。
葡萄栽培は合作社といった組織がまとめているわけではなく、個人に任されている状態である。これがどういうことかというと、問題が起こりやすく、その対応が遅くなるということでもある。品質の一括管理や統一を進める場合には、これらを完全管理下においてコントロールする必要がある。
日本に対する輸出については、干しぶどうはパンなどに入れられる加工用として4000~5000トン輸出されているということであるが、日本の検疫要求によりなかなか輸出できないという問題がある。生産の特性上、ハエなど害虫の卵を完全に駆除することはむずかしい。日本は放射線照射を禁止しているため、これらの対策が難しく、返品の憂き目にあったことが何回かあった。彼らに言わせれば、「日本の各種規定・基準情報が入ってこない」。途中検疫等の問題で契約キャンセルになったことがある。「最初から言ってくれればいいのに後から言ってくる」ので、日本と貿易して損害を出すよりしないほうがましと思っている。なので、大規模な契約はできない。もし返品されたら国内販売に回せる量(500-800トン)程度で契約。またハミ瓜も同様、20年前から輸出に取り組んできているがあまり芳しくない。以前アモイ経由で500万元の損失を出したことがあった。
今回見学したトルファンの施設農業(ハウス栽培)の中心は、北側に土の壁を作り、南側は農業用ビニールシートで半ドームを作ったタイプの「ハウス」であった。このビニールハウスは、1本で1ムー以上、その建設コストは4~5万元ほどかかるが、補助金がでる。土壁のほか、ビニールシート、夜の気温低下を防ぐ防寒シート、その巻き上げ機が主な付帯物である。ビニールシートは日本製であれば10年は持つが、中国製だとそれよりも短くなるということである。
トルファン地区の施設農業面積は2008年に10.1万ムーに達し、2010年から5年で10万ムーの増設を計る計画である。
今回見学したハウス内で栽培されていたのはトマト、トウガラシ、葉物野菜である。
トルファンの干しぶどうは「種入り」のものがあり、日本で注目されているポリフェノールを十分摂取することができる。またカリウム含有量が期待できるハミ瓜もまた日本での健康ブームにのり、販路を見いだすことができると思われる。
「新疆」といってもぴんと来ない日本人も多いであろう。こういったエピソードがある。日本のデパートで新疆産ワインを「シルクロードワイン」と銘打って販売した。すると瞬く間に売り切れたという。「中国産」というと、いろいろと食品問題がついて回るが、中国は中国でも「シルクロード」と着くとイメージが変わる。これを突破口に、新疆の農産物、ひいては中国の食品のイメージアップを計る戦略をとるべきではないだろうか。
余談)
今回のトルファン地区農業関係者との会談は、いささか異質なものとなった。地区人民政府の農業担当者が反日感情を抱いているせいか、発言は日本に対して攻撃的な内容が多かった。その割には「技術をよこせ」「資金をよこせ」と、「日本は中国に迷惑をかけたのだからそれくらいやって当然だ」というような上から目線の態度であった。他地区の上層部との会談では自分たちもがんばるから日本も協力してほしいといった前向きのものであっただけに、トルファン地区に対するイメージは、当日出席した日本人の中では芳しくないものとなった。